うつ状態になってしんどかったこと①
最近はぼちぼち生きている。
良い方向へ向いたかと思うと、突然すっころぶような毎日である。
うつ状態(と診断される前も含め)になってから、いろいろしんどいことはあったが、個人的に一番しんどかったのは「何がしたい?」と尋ねられることだ。
中でも「何が食べたい?」という質問が一番、私を困惑させた。
以前なら、昼頃になると「今日はカレーが良いなあ」と考えたり、テレビでオムライスの名店を特集していたら「今夜は絶対オムライスを食べたい!」という欲というか信念というか、そんなものがあった。
それは別に絶対叶えられなくてもよかったし、じゃあ明日はカレーにしようくらいのものだった。
そんな気持ちがある日突然、すっかり抜け落ちたのだ。
例えば家族とショッピングモールのレストラン街へ行き「どの店が良い?」と聞かれる。それは私の意思を通そうとしてくれる親切心、思いやりだ。
店の種類は豊富で、和食・中華・洋食・イタリアン…などと大抵のジャンルが網羅されている。
だが私は、どの店の看板を見ても、店頭に設置されたサンプルや写真を見ても、コレが食べたいという意欲が湧かない。
かといって、ベトナム料理や本格インドカレーが食べたいわけでもない。
空腹感や食欲がないわけでもない。
いや、あるかと言われると微妙なところだが…でも、食べようと思えば食べられることがわかる。
「自分が何を食べたいのかわからない」という状態なのだ。
ちなみに、食欲がないという状態は、マジで「食べられね~~~」って感じ。朝も昼もほぼ何も食べないまま夜8時を迎え、どう考えてもお腹が減っていておかしくない状態なのに、何も喉を通らない。美味しくない。胃腸が受け付けない。フラフラしたりもしない。ただし元気もない。というかんじ。個人的な意見である。
私がぼーっとレストラン街案内図を見て、正直に「わかんない」とつぶやくと、家族が「え?」と返す。私も「え?」という感じだ。
最初はそんな日もあるよな、と思って深く考えていなかった。そもそも食べたいものが毎日あるなんてことはないし。
子供の頃だって、母親に「今夜のおかずは何が良い?」と聞かれて答えられない日もあったし。
しかし、身体的な症状がひどくなるにつれ「何が食べたい?」「どこへ行きたい?」などの質問をされることが、だんだん苦痛になっていった。(この頃、就活が上手くいかず、身内の不幸とコロナによるイベントの中止などが相次いでいた)
「わからない」とそのまま答えるも、相手には「なにそれ?ハッキリしてよ」という顔をされる。
でも、わからないものはわからないのだ。
何が食べたいのか、何が欲しいのか、どこへ行きたいのか、まったく想像ができなくなった。
食べたほうがいいのはわかるんだけど、おいしそうな唐揚げの写真を見ても、うどん屋さんの出汁の匂いを嗅いでも、よくわかんない。そんな状態がずっと続き、家族からいい加減にしてよ、というオーラを感じることもあった。
そして、いざ食べようと思うと、とっつきやすい味の濃いものや麺類を選ぶことが増え、口内炎やニキビがめちゃくちゃできて、胃腸の具合が悪くなるという魔のループに陥った。
その後、自分がうつ状態にあると知り、色々調べた。
するとなんと症状の一例に「何が食べたいか分からなくなる」と、まさに今の私の状態そのものが書かれていた。
「はあ~~~~~~なんだ、そうだったのか~~~~~~~~~~~!」
と、不思議なことに私は安堵した。
主体性を失ったわけではない、いや、主体性は失っているのかもしれないが、脳みそのせいなんだ、と自分を許容することができた。
しかし、何が食べたいかわからない、というのは今でも週の半分以上はあって、肉ばかり、パスタばかり、と偏食がちになってしまっている。
何も食べたくない日もあるし、異様に食欲が旺盛なときもある。
ハンバーガーを週に3回くらい食べた日もあった。
でも、食べたい!やりたい!と思ったらなるべくその欲望を叶えてやるようにしている。
コロナ禍で、叶えられないことも多いけれど、なるべく自分に素直に、楽しく生きることを心掛けている。それは主治医からの助言でもある。
今はまだ難しいけど、自由に外食ができる世の中になったら、焼き鳥屋に行きたい。
通院記録
数回通院を経て、薬がコロコロ変わった。
というのも睡眠が安定しないからだった。
ルネスタは入眠自体は楽なのだが、4~5時間で目が覚めてしまい、そこから2度寝をしようとしても、夢を見たりして熟睡できず結局睡眠不足or過眠に。
これも入眠は良いのだが(個人的にはルネスタのほうが入眠は早くてスンと眠れる感じがしたが)目覚めが微妙かつやはり夢を見てしまう。
そのため、トリンテリックスは10mgから20mgへ増やし、ブロチゾラムを半量に。
しかし、そもそもブロチゾラムが合わなかったのか、入眠も睡眠も悪くなる事態に。
トリンテリックスの効果なのか、抑うつ感はかなり減ってきた。それでも睡眠時間が適切で、早く起きることができて、よく眠れていないとバランスを崩す。
しばらく寒く、寒暖差による鼻炎と腰痛が復活してきたこともあって、寝込んでしまった。
そしてまた薬が変更になった。
今度はトリンテリックスにビプレッソが追加になり、ブロチゾラムがなくなった代わりにリボトリールが不眠時の頓服として処方された。
このビプレッソというのが初めて飲んだときになんだかすごく眠くなってしまい、頓服は飲まずに眠った。そして翌朝も眠くて眠くてしかたなかったのでどうなるのか…
早く安定して眠れるようになると良いのだが。
通院記録
3回目のメンタルクリニック。
1ヶ月ほど睡眠導入剤としてルネスタを服用していたが、服用後4~5時間で覚醒してしまうため、そちらだけブロチゾラムOD錠へ変更になった。
トリンテリックスのほうは継続。
効果はよくわからないが、以前より動けるようになった気がする。
早朝に目覚めてしまうものの入眠がスムーズになったので、そこのストレスがなくなり昼寝も減った。
3日ほどブロチゾラムを服用して眠っているが、入眠に関してはルネスタとあまり変わらない。だいたい30~60分くらいで眠れている。
うっかり他事を考えると、導入剤を飲んでも眠れなくなる。
当然だが、起床時間はルネスタのときより遅くなった。うまくいけばちょうど8時間くらいなのだろうか。
睡眠薬を飲めば、入眠も覚醒も強制的にコントロールされるものだと思っていたが、メンタル状態に左右されてしまうことを知った。飲まないときよりはマシだけど。
寝る前に他事を考えずリラックスすることと、夢を見ず途中で起きないような睡眠を得ることが理想なのだが、なかなかうまくいかない。
しかし薬が効いている状態でトイレに行きたくなって覚醒すると、トイレに行くまでの道のりが怖い!
クリニックの先生は、今回も全肯定してくれてモチベーションが上がった。
運動しようねと言われたので、運動しよう。
あと最近、額にニキビがめちゃくちゃできて痛い…ピルを飲むようになってからほとんどニキビとは無縁だったのに。
備忘録 検査と経過、衝撃
2週間前、生まれて初めてメンタルクリニックの門をくぐったアラサー女の近況報告である。
色々あってメンタルクリニックを受診し、この2週間あまり服薬を続けながら、途中で検査を受けた。
ちなみに、初診・検査・再診ともに1500円前後。薬代は2週間分で1600円くらいだった。
5000円くらい取られるんじゃないかと身構えていたので、意外と普通だった。
検査を受けたのは先週のこと。
精神系の検査に何ひとつピンとこなかった私は、緊張しながらクリニックへ。
仕事もそろそろ終わる時間帯だったが、待合室には私しかいなかった。
すぐに名前を呼ばれ、診察室ではなく処置室へ。
机を挟んで、先日の問診時とは違う心理士の先生とふたりきり。
体中、何をされてもいいように覚悟を決めた私の前に差し出されたのは1枚の紙だった。
後で明細を見たら、認知機能検査と書かれていた。
認知症の検査みたいなものなのだろうか? と思ったが、実際のところはよくわからない。
紙を見て、心理テストとかか? 計算だったら苦手だな…と不安になったが、ちょっと違った。
無数に羅列された似たような記号の中から、提示された1つの記号と同じものを、ひたすら赤エンピツでチェックをつけてピックアップしていくというものだった。
羅列されている記号はパソコンで打った文字のようにきれいに並んでいるが、とにかく細かい。マークシートの枠より小さいくらい。
しかし正直言って、この検査は私に向いていると思った。
なにせ前職は新聞や広告などの印刷物を制作する仕事をしていたのだ。
校閲作業(ドラマで石原さとみがやってたやつ)は慣れたものだ。
効率よく文字の間違いを探すなんて仕事にしてたけど、大丈夫か? などと高をくくっていた。
よーいスタートで検査が始まる。
いかにも穏やかそうな先生はニコニコしながらストップウォッチを握っている。
私はなるべく早く、確実にチェックしていった。
何分くらいかかったかは分からないが、頑張って集中したつもりだ。
だいたいこんなものだろう。
先生に見られている緊張感に汗をかきつつ、テストは終わった。
よく出来たんじゃないか? とちょっと自信ある風に用紙を先生に差し出す。
思いのほか疲れ切ってしまったが、まだ何かあるのだろうかと身構えると「これで検査は終わりですよ~」とのこと。
思いのほかアッサリと検査が終わった。2時間くらいかかるのかと思って覚悟していたので拍子抜けだ。
検査から約1週間。初診からは2週間。
毎晩、睡眠薬を飲んでいたので、一番つらかった睡眠事情、とりわけ入眠に関してはかなりの改善傾向。
最初の数日間は、服薬後のボーっとする感じが慣れず、ウンウン唸っていた。
なので、寝る前に薬を飲んだら、ミステリ小説を読むようにした。
薬の効果が出るのは30分くらい。早いほうらしい。
私はとにかく寝つきが悪かったので(布団に入ってから眠るのに1~3時間要していた)この、30分くらいボーっとしていれば眠れるというのが快適で仕方がない。
これまでの苦しみが嘘みたいだった。
それ以外の時間でも、ヒマができたら静かな空間で気軽に読める面白い内容のエッセイなどを読んでいる。
なるべく暗い気持ちになりたくないので、楽しい話や楽しい番組を見るように心がけている。それでもシリアスも好きなので、見るには見る。最近、体調と精神状態をすごく意識するようになった。
抗うつ剤のほうは、飲むとちょっと呼吸が楽になるような…というくらいだが、楽になっているような気はする。特に思考。
喉が圧迫されるような息苦さは本当につらく、軽く鼻炎もあるので、酷い時は目が回って意識が遠のくようなかんじになってしまう。
何気にマスクがしんどい。マスクをして人の多い屋内で買い物すると、すぐにアクビが出て耳がボーっとして、目が回って疲れてしまう。車酔いが近い。ああ、マスクしんどい。
これは、座って休憩して、お茶を飲むと治る。あと、深呼吸。
思考はいろんな矢印がグルグルグルグルしていたのが、ちょっと安定して、まっすぐ1本になったかんじ。無駄がないというか。
しかし、小説を読むようになって思ったことだが、本を読むスピードが格段に落ちているような気がする。
昔は薄い文庫なら1日で読んでいたのが、何週間とかかっている。
映画やコンサート映像を観ても、受け皿である感受性や理解力、そこから生まれる思考のような部分がぼんやりしてしまうのと近い。
あとは昼寝しないようにすることと、2度寝を減らしたい。
しかし、寝つきがよくなって精神的にはちょっと落ち着いたような感じ。
寝る前に、ぐるぐると答えの出ないことを、ああでもないこうでもないと考え続けることが減った。
何もないのに涙が出ることも減った。
だが、求職活動を意図的に止めたので、その効果もあるかもしれない。
転職アプリは怖くて起動できない。これからどうしようか。
そうして2度目の診察。
まず、認知機能検査の結果。
一般的な時間が「2.5~15秒」のところが、私の記録は「38秒」。
危険とされるのが「40秒」らしい。
しかも終盤にかけて、ミスも時間も増えているとのこと。
思わず笑ってしまった。
ええ~~~~まじで~~~~~?!!
いやびっくりした。
時間がかかっているから悪い、というわけでなく「慎重さ」や「確実性を求める」などの性格も反映されるらしいが、驚いた。
30手前の、去年まで普通に働いていて、今も普通に生活している人間である。
テレビも観ているし、本も読んでいる。料理も掃除もする。買い物にも行っている。今、ブログを書いている。
どれくらい以前と同じように行動できているかはわからないし、以前にはなかった疲弊感や焦燥感はあるが。
でもそんなに「能力」自体が低下しているとは思わなかった。
こうなると、この文章もちゃんと書けているのか不安だ。
趣味であったはずの創作小説がなかなか書き進まないのは関係あるのか?
しかし、先生と色々話すと、まあ、自分の性格も反映されているものだと感じた。
慎重すぎるというか、そういうところはあると前々から実感している。特に仕事をしていたころは、それが苦痛だった。
だが集中力や思考力の低下は否めないようだ。
とりあえず、このまま服薬しながら、睡眠改善のため運動もしようねとのこと。
う~~~~~~ん、どうしよう。
とりあえず、小説が普通に読めるくらいにはなりたい。あと、書けるようにもなりたい。これはやる気の問題か。
また何かあったら書きます。
はじめての精神科
前の記事で、あまりクリニックや診察自体のことを書けなかったので、補足程度に私が受診したクリニックを選んだ理由と、行ってみた感想を書こうと思う。
まず、ネットで「心療内科」や「メンタルクリニック」というワードで検索すると、思いのほか自宅から通える範囲内に点在していることを知る。
規模は大小さまざま、マップで見るとどんどん出てきてしまうので迷った。
家からは遠いがオフィス街、繁華街にも点在している。
近さだけなら自宅から徒歩5分の場所にもあるが、テナントが入っている古いマンションの1室に昔から看板が出ているだけで、ネットの情報も少ない。
当然だが、通っているという人の話も聞いたことがない。家族に聞いても詳しい話はわからない。
検索すると出てくる口コミみたいなのはあまり信用していないので、できればクリニック独自のウェブサイトがあって、先生の名前や待合室の雰囲気だけでもわかるといいなと思った。
また、家から近すぎるとあまり気分転換にならないかなと思った。
私は他にも内科や婦人科、歯科、整形外科に通院している(数か月に1度~毎週…にしても多いな)。
発熱など緊急時にも行きたい内科や、リハビリで毎週通っている整形は近いほうが助かるし、共に良い先生に出会うことができた。
歯科もだいたい同じ理由だ。3ヶ月に1度検診に通っている。歯科の定期健診は重要である。
婦人科は数が少ないので消去法だが、自転車で15分くらい。ついでに薬局やコンビニなどに寄ることができる場所。通勤時は駅から結構遠いので苦労したが……。
次に近いところとなると結構数が増える。
1つ目は徒歩15分程度。駅前で、完全予約制。しかし先生が複数人おり、曜日固定なので、担当の先生が勤務している曜日に通うことが絶対条件というクリニック。
あとは、ちょっと離れるが自転車で20分あれば行ける場所に数件。
もう少し離れると新しいクリニックがあったが、電車が必須なため除外。
調べてみて感じたのは、メンタル系の医院は他の科に比べ、簡単に「家から近いから、とりあえず行ってみよう」というだけでは、決め手に欠ける。
もちろんそれで決めて、合わなければ他のクリニックを探すというのもひとつの選択肢だろうが、精神的に参っているとネットで探して、予約、来院、問診して……という手順すら億劫になる。
いくら評判が良くても、予約が数ヶ月先にしかとれなかったりする。
今まさに具合が悪いというのは、内科だろうが外科だろうが心療内科だろうが同じだと思う。
ただ、内科や外科に受診を考えるような分かりやすい体調不良、ケガなんかは放っておくと物理的な痛みや苦しさを伴うし、悪化すると命に関わる場合があるので、すぐに受診を考える。
しかしメンタル的なものは先延ばしにしても良いかなーと思って、結局行かずじまいになる。私がそうだった。
確かに放っておいても外的刺激や環境によって一時的には良くなるが、結局また同じように悪くなる。これで治ったら、それはそれでいいのだろう。
だが、さらに悪くなる場合もあるはずだ。私は就活に加え、想定外の「新型ウイルスの流行」という得体の知れない感染症への恐怖と社会的な落ち込みにより、元々の不安感が悪化した。
また、決めたらすぐ行動しないとやる気が無くなったり、ソワソワし続ける人間なので、あまり先の予約を取るのも憚られた。
そんなことを考えながら、良さそうなクリニックを探す。曜日や時間に融通がきかなかったり、なんかヤなかんじの先生だったり……
私の経験したことだと、日時に融通がきかないというのが、予約手前の段階に書いてあった注意書で気づいたりしたので気が抜けない。
ちゃんとウェブサイトを見ていかないとわかんないな~と思った。
色々と考慮した結果、とりあえず、自転車で20分くらいで行ける地域にあるクリニックから選ぶことにした。
その地域だとちょっと大きい駅があり住宅も密集する土地で、まあとにかく、心療内科とかメンタルクリニックと付く病院は多かった。
もし社会復帰して通勤が発生しても、大きな駅があるので何かしらの交通手段で通うこともできる。
あまり行ったこともない街なので、お店を見たりするのも楽しいかなと思った。
私がその中から選んだのは、女性の先生で、予約優先のクリニック。
検索すると上位に表示されるところだった。
決め手は、ネットで初診予約~問診が済ませられること。
予約も比較的取りやすく、同じ週でも空きがあった。
「初診は電話予約で」とか「問診があるので初診は30分前に来院してください」というところも多い中、とても魅力的な文句だった。
問診はかなり項目が多く、自宅でくつろぎながら自分の状態をきちんと省みて回答することができた。
ウェブサイトで見た内装の雰囲気も落ち着いていて良さそうだ。
内容の更新もちゃんとされている。
場所は駅から歩いて数分で、近くには飲食店やスーパー、本屋もあった。
学生街でもあり、夕方の街は活気があった。
人が多いが繁華街と呼ぶほど雑然としておらず、良い感じかもと思った。
道が広く優先レーンも設けられており、自転車でも走りやすい。
私は自転車で人混みを走行すると緊張してしまうので、ここは何気に重要なポイントだ。意図したわけではないが、家の近くの細々した道を走るより気楽だった。
自転車は、駅前の時間貸し駐輪場に停めた。事前にグーグルマップで駐輪場の有無は調べていったが、思いのほかどこも満室で探すのに苦労した。
先生の性別はあまり気にしていなかったのだが、男性か女性かならまあ、女性のほうが良いのかなあと思った。
合えば性別なんて関係ないと思うが、色々込み入った話をするなら同性のほうが多少は気楽かもしれない。
逆に異性のほうが安心するという場合もあるし、そこは色々だと思う。
私はとにかく温厚で優しくて、できればあまり若くない人が良いな…と言う希望だけはあった。
クリニックは、色々な医療機関が入っている細長いビルの中にあった。
思ったより間口が狭く戸惑う。小さなエレベーターで他人と乗り合わせ、少々気まずい。
同じフロアに別のクリニックも入っているので、他人と全く居合わせずにクリニックへ向かうことは難しそうだ。
予約時間の10分前くらいに来院するとすでに数人が待合室にいた。後からも続々と人がやってくる。
一応、予約制ではあるがあくまで優先というだけなので、最終的には結構な人数が待合室にいた。
サイトを見ていると完全予約制で、中にはなるべく人と会わないよう配慮されているところもあるのでちょっと驚いた。
またビルの中の一室なので待合室自体がそこそこ狭く、椅子がぎっしり並んでいた。今はソーシャルディスタンスを保つため間引きされていたが、そのぶん通路に立っている人もいた。
ソーシャルディスタンスがなくなったら隣の人との距離がかなり近いなあ……と思った。
映画館とか気楽だったんだけどな、ソーシャルディスタンス。私には椅子1つ分くらい隣の人と距離が空いていたほうが居心地が良いんだな……と思い知ったコロナ禍である。みんなマスクしてるし、消毒もしてるし……
ネットで事前に問診は済ませたので、クリニックに着いてから保険証を出す以外にすることはなかった。
受付の人も「初診で予約しました」と言うと把握していたようで「○○さんですね~」と言われた。
来院している人は子供から中年の人まで、老若男女問わずという感じ。
ごく普通の人ばかりで、内科とか歯科にでも来たような気分だった。
予約時間から30分ほど遅れて診察室へ呼ばれた。
診察室は決して広くなかったけど、明るく清潔感があって落ち着いている。
先生との間には飛沫対策のアクリルボードが置かれていた。
出迎えてくれた先生は、明るく元気そうな中年女性だった。
ほどよく積極的だけど、がつがつはしていない……精神科の先生というのが初めてなので普通のテンションなのかもしれないが、向こうから絶妙な距離感で色々なことを聞いてくれるので答えやすかった。
親しみとサバサバの間というか。人間関係の話とか、内面的な話というより、まずどのような状況なのか・どんな症状があるのかをテキパキ聞いてくれる。でもきちんと言葉を待ってくれて、頷いてくれる。
質問された内容以外にも、こちらから悩んでいることを話してもしっかり受け答えしてくれる。
そして症状に対しては、原因を丁寧に説明してくれる。だいたい心身症だったけど。
診察の結果は、なんだかまずい状態だったらしく「できれば薬を飲んだ方がいいんだけど、抵抗ある?」と言われた。
楽になれるならできれば服薬したかったので(とにかく不眠がつらかった)薬については問題ないことを伝えると、ささっと処方箋を出してくれた。
初日は問診と諸症状(過敏性腸症候群・過換気症候群・赤面・多汗など)に関する説明、薬の話で終了した。
処方された薬はトリンテリックス(ゆううつな気分を改善する薬)とルネスタ(よく眠れる薬)。
飲み合わせの問題や副作用が少なく、依存もしづらい、わりと新しい薬らしい。
メンタル系の薬というと飲み合わせが難しかったり、強い副作用や依存性があるものだと心配していたのだが、そうでもないらしい。あとはこれが体に合っていれば良いのだが。
私は他に便秘薬(モビコール)と超低用量ピル(ヤーズフレックス)を服用している。
2週間服薬を続けながら、途中で検査のためまた来院する予定だ。
後回しにし続けた受診だが、あまりにあっさり終わった。
暗いのかな、怖いのかな、とか思っていたが、そんなことはなかったけどこれも運だろうなとも思う。
でも、すでに2日服薬し、少なくとも眠ることは驚くほど――今まで何年も続いた、疲れるばかりの睡眠は一体何だったのかとショックを受けるほど容易になったので、もし不眠で苦しんでいたら、もっと気軽に受診しても良いのでは?と思った。
備忘録 メンタルクリニックへ行くことにした
去年の夏の終わりに退職する決意をし、辞めたのが11月末。
辞めた理由は職場のストレスからくる体調不良。原因は主に人間関係である。
かなり体調が悪かったが、心療内科には行かなかった。勇気がなかった。
でも、それでも何とかなると思っていた。
そこから、前職でなかなかまとまった休みがなかったため、気長に春先くらいまで旅行や趣味(コンサートや観劇と同人活動)を満喫しようと考えていた。
12月~2月くらいは推しのツアーがあったので、それに参加しながら同人誌も出し、旅行やショッピングも楽しんでいた。
離職した解放感に満ち溢れ、体調不良も少しずつ良くなっていた。
早起きし、3食たべて、軽く散歩などにも出かける。
サブスクで観たかった映画を観たり、推しのライブBDを見返したり、充実した無職ライフを送っていた。
コンサートはいつも仕事の合間にギリギリの日程で予定を組み込んでいたが、前後に空きができたので、ツイッターで知り合った友人と会ったり、ついでに観光したりもできた。
2月末。
突如として現れた新型ウイルス。
楽しみにしていたコンサートやイベントが次から次へと中止になった。
緊急事態宣言下の地方都市で私は、マイペースで良いやと求職活動を始めた。
前職は印刷やデザインに関する仕事だ。
でも自らのデザイン能力には限界を感じていたので、全く別の仕事あるいはオペレーター業務だけで済むような職種を漠然と考えていた。
そして転職の相談をしたアドバイザー的な人からのアドバイスをもとに、休み・家からの距離・勤務時間(帰宅してから夕飯を作りたい)に要点を置いて職探しをした。(この条件を言ったら渋い顔をされたけど、決めたならそれにしよう!とは言ってくれた。この人も親切だった)
元々私は積極的な性格ではない。慎重になりすぎて、石橋を叩いて割るタイプだ。
実家住まいで貯金もそこそこあったので、あんまり急がずに、まずは納得のいく仕事探しをしようと決めていた。
1社目、前職の職歴を生かせる仕事。二次面接まで行って不採用。
かなりの大企業で無謀な挑戦だったので、そこまでいっただけでもすごい。今にして思えば。
でも当時は落ち込んで、面接前後にはかなりパニックに陥っていた。
そこから、何でも良いやという気持ちになり、事務関係を中心に応募するも、書類すら通らない日々が続く。
応募するだけでも気力がすり減り、面接になろうものなら前の日の夜はひとりで泣き続け、朝方ちょっとだけ眠って面接へ向かう。
応募してから結果が出るまで、気がたかぶって眠れなくなる。昼前に起床し、昼~夕方に猛烈に眠くなって寝る。たまに夕食を作り、寝るのは3時くらいの繰り返し。
その間にも世間は荒み、コロナ離婚とかコロナおじさんとか自粛警察とか県外ナンバーが迫害されるとかあの旅館がつぶれたとか張り紙とか、そういう話題しか見聞きしなくなる。
ワイドショーを見ていられず、ヒルナンデスの阿佐ヶ谷姉妹とバイキング小峠に救われる。
初夏、ぎっくり腰をやって整形外科に通うようになる。未だに腰痛は治らない。
一度ストレスで食が細り、体重が40キロ台前半から増えないことを指摘され、なんとなくヤバいことを察する。
これ以上体重が減ったらどんな病気になっても、足腰が痛いと言われてもどうしようもないよと言われた。
確かに痩せてから骨が痛いし、体力も落ちた。
でもなかなか運動する気にはなれないというクソみたいな相談すると、簡単なストレッチをたくさん教えてくれた。
ここで知り合った担当の理学療法士と週1でリハビリしながら世間話をするのは結構な気分転換になっている。
ぎっくり腰の直後、ずっと施設に入っていた祖母が亡くなり、バタバタする。
求職活動が中断。病院に通いつつ、祖母の法事と施設の片づけなどをする。
祖母についてしばらく引きずり、落ち込む。
コロナ対策で施設へ面会にも行けず、最期も看取ることができなかった。
なんか人生で経験する嫌なことが全部押し寄せてきたような気分。
このとき控えていたコンサートもついに全て中止になった。
久しぶりに会った友人からガチめに心配される。
多分、結構ここで精神的に滅入っていたのだと思う。
実家暮らしなので、せめてもと思いながら家事の手伝いはする。特に食事を作るのは楽しかったが、食べることへの執着はなくなりつつあった。
「ごはんとおかず」を食べるのが苦痛で、パスタやラーメン、チャーハンなど味の付いた炭水化物ばかり食べるようになる。
たまにどうしようもなく体が動かず、家事手伝いすらできないとさらに落ち込む。
アラサーになって親のすねをかじっている私は人間の最下層に違いない。
テレビで無職の人が事件を起こしたのを聞くたび心細くなった。
でも、ドキュメント72時間と月曜から夜ふかしはちょくちょく勇気をもらった。私はテレビが好きだ。
コロナが少し収まり、求人に応募するも落とされる日々。
酷暑のなかハローワークと民間が共同で運営している就職支援センターに通うが、なかなか希望に合う職が見つからず難航。
そして、暑い中通う私を見かねた職員が「ネットでもいいよ」とハローワークインターネットサービスをすすめてきた。
これは登録すると家からでもハローワークの求人を見ることができ(見るだけなら登録しなくてもいいが)保存したり、支援センター側の職員からオススメ求人が送られてきたり、私の気になる求人を向こうがチェックできたりする。
すると外出も、ついでの買い物もしなくなったし、端からみると就職活動もしなくなったと思う。それに就職に関する相談もできなくなった。
家族はたまにちょっと小言をいうくらいで、厳しいことは言わなかった。
でもその小言に震えるほど動揺し、隠れて泣くようになる。
たまに外出するも、近所のスーパーへ行くだけ。緊急事態宣言中はスーパーすらやっていなかったので、ネットでの買い物がはかどった。
いらないはずの口紅ばかり買ってしまい、消える貯金に後悔の日々。
楽しいことがあっても、今までは楽しい気分のコップに水が溜まっていたのに、穴が開いて水が溜まらなくなったかんじ。
推しのライブを見ても、大好きな同人誌を読んでも、そのときは楽しいけど持続しない。すぐに嫌なことを考えて落ち込む。そして、楽しいコンテンツに触れることも億劫になる。
もちろん自分で創作もできない。
日に日に求人が減っていく。
だんだん、求人に応募していなくても不安で夜眠れなくなる。
治っていた息苦しさと動悸が復活し、1ヶ月くらい無気力だったのが最近のこと。
泣いて泣いてやっと決まった面接先は、溶剤の臭いと轟音に満ちており、絶望。
近所の工事だけで体調を崩す私には無理だ。無理だと思う自分の甘さに泣ける。
前職を生かせるかと思ったら、肉体労働だし残業も求人に書いてあった時間より圧倒的に多いやんけ!
そしたら翌日にはお祈りメールが来ていた。まあお断りするつもりだったけど。
もう一社も、良い感じだったけどみんな6時台に出勤してるとか言われた。電車で20分、さらに駅から徒歩20分近く。
この面接へ行く前、化粧するとき、自分の顔をみてびっくりした。なんか痩せこけてて不健康で怖かった。
帰宅して、やはり落ち込んだ。
でも次の日からいろんな推しのオンラインライブがいくつも開催されたので、ギリギリ生きられた。
本当にそう思った。
そしてオンラインライブは楽しくて、久しぶりに嬉しい涙を流した。
コレがなかったらどうしてたんだろうとハッとした。
そして私はメンタルクリニックに予約を入れた。なんか、衝動的に入れた。
ちょうどツイッターでメンタルヘルスの話を見かけたというのもある。
自宅から自転車で20分くらいのクリニック。
もっと近くにもあったが、先生が女性だったことと街の治安が良いのでそっちにした。
ウェブで初診の予約と問診が済ませられるというのも大きい。
近いけどめったに行かない場所なので、自転車で街を走るだけでもちょっとリフレッシュになった。
精神系の病院へ行くと親に言うと、何を大袈裟なという反応をされた。
玄関を出るとき「なんでも話してきたら」と言われ、わけもわからず涙があふれた。
予約したものの30分ほど待ち、ついに診察。
綺麗で親切そうで、はつらつとした中年女性だった。
若い人が苦手なのでちょうど良かった。
まず質問されるがまま、素直に答えていくと、先生の顔がどんどん曇っていく。
「ちょっと心配」を繰り返す先生。
言いづらいことも、ワガママだよなと思っていたこともなぜか肯定してくれる。
そんなに肯定してくれていいのだろうか…そんなにまずいのか…とソワソワする。
小さい頃から手汗と赤面するのがコンプレックスだったこと。
謎の不安感で頭の中がぐちゃぐちゃになること。
夜眠れず、昼や夕方に寝てしまい後悔すること。
下痢と便秘があってつらいこと。
楽しいことがあっても疲れ果ててしまうこと。
楽になりたいと思うこと。
「どうでも良いけど生きづらく感じていること」をそのまま話すと、先生は「うんうん」と言って頷いて「それはこういう症状なんだよ」と説明してくれた。
私の生きづらさは、大体「心」からくるものだった。
そして「ちょっと心配」だから早めに薬を飲んだ方がいいと言って、薬を処方された。
私はPMSが酷く低用量ピルも飲んでいるが、そのときの先生も「あなたはピルを飲むべき」といって初受診時にさっさと処方してくれた。これが結構私には助かる。
もう数年飲み続けているが、イライラや生理痛の改善どころか年に3回くらいしか生理が来なくなったので大変楽である。
今回処方されたのは、うつの治療薬とよく眠れる薬…と聞いてちょっと不安になったが、先生も薬剤師さんも丁寧に説明してくれた。
特に飲み合わせの問題もなく、副作用も少ないらしい。
しかもうつの薬は夜1回。眠る薬も寝る前に1回なので、飲み忘れの多い私でも続けられそうである。
とりあえず初日、昨晩1回ずつ飲んでみた。
うつの薬のほうは、なんとなく思考回路がシャッキリした…?という感じだが、そんな早く効果って出るのだろうか。自分の気の持ちよう?でも小言をいわれたらすぐ落ち込んだ。
よく眠れるほうは、すごかった!生まれてはじめて快眠したって感じだ。
寝る前のモヤモヤがなく、気づいたら寝てて、起きるとスッキリ。
寝るってこんなに楽で、苦しくないことなんだ!と感動した。
これから2週間服薬。来週にはなんか検査があるらしい。
あと、病院行ってきたって言ったらフォロワーに褒められた。うれしい。
どんなふうに変わっていくか、ちょっとずつここに書いていけたらと思う。