1日0.3歩くらい

抑うつ女の通院日記

はじめての精神科

前の記事で、あまりクリニックや診察自体のことを書けなかったので、補足程度に私が受診したクリニックを選んだ理由と、行ってみた感想を書こうと思う。

 

まず、ネットで「心療内科」や「メンタルクリニック」というワードで検索すると、思いのほか自宅から通える範囲内に点在していることを知る。

規模は大小さまざま、マップで見るとどんどん出てきてしまうので迷った。

家からは遠いがオフィス街、繁華街にも点在している。

 

近さだけなら自宅から徒歩5分の場所にもあるが、テナントが入っている古いマンションの1室に昔から看板が出ているだけで、ネットの情報も少ない。

当然だが、通っているという人の話も聞いたことがない。家族に聞いても詳しい話はわからない。

検索すると出てくる口コミみたいなのはあまり信用していないので、できればクリニック独自のウェブサイトがあって、先生の名前や待合室の雰囲気だけでもわかるといいなと思った。

 

また、家から近すぎるとあまり気分転換にならないかなと思った。

私は他にも内科や婦人科、歯科、整形外科に通院している(数か月に1度~毎週…にしても多いな)。

発熱など緊急時にも行きたい内科や、リハビリで毎週通っている整形は近いほうが助かるし、共に良い先生に出会うことができた。

歯科もだいたい同じ理由だ。3ヶ月に1度検診に通っている。歯科の定期健診は重要である。

婦人科は数が少ないので消去法だが、自転車で15分くらい。ついでに薬局やコンビニなどに寄ることができる場所。通勤時は駅から結構遠いので苦労したが……。

 

次に近いところとなると結構数が増える。

1つ目は徒歩15分程度。駅前で、完全予約制。しかし先生が複数人おり、曜日固定なので、担当の先生が勤務している曜日に通うことが絶対条件というクリニック。

あとは、ちょっと離れるが自転車で20分あれば行ける場所に数件。

もう少し離れると新しいクリニックがあったが、電車が必須なため除外。

 

調べてみて感じたのは、メンタル系の医院は他の科に比べ、簡単に「家から近いから、とりあえず行ってみよう」というだけでは、決め手に欠ける。

もちろんそれで決めて、合わなければ他のクリニックを探すというのもひとつの選択肢だろうが、精神的に参っているとネットで探して、予約、来院、問診して……という手順すら億劫になる。

いくら評判が良くても、予約が数ヶ月先にしかとれなかったりする。

今まさに具合が悪いというのは、内科だろうが外科だろうが心療内科だろうが同じだと思う。

ただ、内科や外科に受診を考えるような分かりやすい体調不良、ケガなんかは放っておくと物理的な痛みや苦しさを伴うし、悪化すると命に関わる場合があるので、すぐに受診を考える。

しかしメンタル的なものは先延ばしにしても良いかなーと思って、結局行かずじまいになる。私がそうだった。

確かに放っておいても外的刺激や環境によって一時的には良くなるが、結局また同じように悪くなる。これで治ったら、それはそれでいいのだろう。

だが、さらに悪くなる場合もあるはずだ。私は就活に加え、想定外の「新型ウイルスの流行」という得体の知れない感染症への恐怖と社会的な落ち込みにより、元々の不安感が悪化した。

また、決めたらすぐ行動しないとやる気が無くなったり、ソワソワし続ける人間なので、あまり先の予約を取るのも憚られた。

そんなことを考えながら、良さそうなクリニックを探す。曜日や時間に融通がきかなかったり、なんかヤなかんじの先生だったり……

私の経験したことだと、日時に融通がきかないというのが、予約手前の段階に書いてあった注意書で気づいたりしたので気が抜けない。

ちゃんとウェブサイトを見ていかないとわかんないな~と思った。

 

色々と考慮した結果、とりあえず、自転車で20分くらいで行ける地域にあるクリニックから選ぶことにした。

その地域だとちょっと大きい駅があり住宅も密集する土地で、まあとにかく、心療内科とかメンタルクリニックと付く病院は多かった。

もし社会復帰して通勤が発生しても、大きな駅があるので何かしらの交通手段で通うこともできる。

あまり行ったこともない街なので、お店を見たりするのも楽しいかなと思った。

 

私がその中から選んだのは、女性の先生で、予約優先のクリニック。

検索すると上位に表示されるところだった。

決め手は、ネットで初診予約~問診が済ませられること。

予約も比較的取りやすく、同じ週でも空きがあった。

「初診は電話予約で」とか「問診があるので初診は30分前に来院してください」というところも多い中、とても魅力的な文句だった。

問診はかなり項目が多く、自宅でくつろぎながら自分の状態をきちんと省みて回答することができた。

ウェブサイトで見た内装の雰囲気も落ち着いていて良さそうだ。

内容の更新もちゃんとされている。

 

場所は駅から歩いて数分で、近くには飲食店やスーパー、本屋もあった。

学生街でもあり、夕方の街は活気があった。

人が多いが繁華街と呼ぶほど雑然としておらず、良い感じかもと思った。

道が広く優先レーンも設けられており、自転車でも走りやすい。

私は自転車で人混みを走行すると緊張してしまうので、ここは何気に重要なポイントだ。意図したわけではないが、家の近くの細々した道を走るより気楽だった。

自転車は、駅前の時間貸し駐輪場に停めた。事前にグーグルマップで駐輪場の有無は調べていったが、思いのほかどこも満室で探すのに苦労した。

先生の性別はあまり気にしていなかったのだが、男性か女性かならまあ、女性のほうが良いのかなあと思った。

合えば性別なんて関係ないと思うが、色々込み入った話をするなら同性のほうが多少は気楽かもしれない。

逆に異性のほうが安心するという場合もあるし、そこは色々だと思う。

私はとにかく温厚で優しくて、できればあまり若くない人が良いな…と言う希望だけはあった。

 

クリニックは、色々な医療機関が入っている細長いビルの中にあった。

思ったより間口が狭く戸惑う。小さなエレベーターで他人と乗り合わせ、少々気まずい。

同じフロアに別のクリニックも入っているので、他人と全く居合わせずにクリニックへ向かうことは難しそうだ。

予約時間の10分前くらいに来院するとすでに数人が待合室にいた。後からも続々と人がやってくる。

一応、予約制ではあるがあくまで優先というだけなので、最終的には結構な人数が待合室にいた。

サイトを見ていると完全予約制で、中にはなるべく人と会わないよう配慮されているところもあるのでちょっと驚いた。

またビルの中の一室なので待合室自体がそこそこ狭く、椅子がぎっしり並んでいた。今はソーシャルディスタンスを保つため間引きされていたが、そのぶん通路に立っている人もいた。

ソーシャルディスタンスがなくなったら隣の人との距離がかなり近いなあ……と思った。

映画館とか気楽だったんだけどな、ソーシャルディスタンス。私には椅子1つ分くらい隣の人と距離が空いていたほうが居心地が良いんだな……と思い知ったコロナ禍である。みんなマスクしてるし、消毒もしてるし……

 

ネットで事前に問診は済ませたので、クリニックに着いてから保険証を出す以外にすることはなかった。

受付の人も「初診で予約しました」と言うと把握していたようで「○○さんですね~」と言われた。

来院している人は子供から中年の人まで、老若男女問わずという感じ。

ごく普通の人ばかりで、内科とか歯科にでも来たような気分だった。

 

予約時間から30分ほど遅れて診察室へ呼ばれた。

診察室は決して広くなかったけど、明るく清潔感があって落ち着いている。

先生との間には飛沫対策のアクリルボードが置かれていた。

出迎えてくれた先生は、明るく元気そうな中年女性だった。

ほどよく積極的だけど、がつがつはしていない……精神科の先生というのが初めてなので普通のテンションなのかもしれないが、向こうから絶妙な距離感で色々なことを聞いてくれるので答えやすかった。

親しみとサバサバの間というか。人間関係の話とか、内面的な話というより、まずどのような状況なのか・どんな症状があるのかをテキパキ聞いてくれる。でもきちんと言葉を待ってくれて、頷いてくれる。

質問された内容以外にも、こちらから悩んでいることを話してもしっかり受け答えしてくれる。

そして症状に対しては、原因を丁寧に説明してくれる。だいたい心身症だったけど。

診察の結果は、なんだかまずい状態だったらしく「できれば薬を飲んだ方がいいんだけど、抵抗ある?」と言われた。

楽になれるならできれば服薬したかったので(とにかく不眠がつらかった)薬については問題ないことを伝えると、ささっと処方箋を出してくれた。

 

初日は問診と諸症状(過敏性腸症候群過換気症候群・赤面・多汗など)に関する説明、薬の話で終了した。

処方された薬はトリンテリックス(ゆううつな気分を改善する薬)とルネスタ(よく眠れる薬)。

飲み合わせの問題や副作用が少なく、依存もしづらい、わりと新しい薬らしい。

メンタル系の薬というと飲み合わせが難しかったり、強い副作用や依存性があるものだと心配していたのだが、そうでもないらしい。あとはこれが体に合っていれば良いのだが。

私は他に便秘薬(モビコール)と超低用量ピル(ヤーズフレックス)を服用している。

2週間服薬を続けながら、途中で検査のためまた来院する予定だ。

 

後回しにし続けた受診だが、あまりにあっさり終わった。

暗いのかな、怖いのかな、とか思っていたが、そんなことはなかったけどこれも運だろうなとも思う。

でも、すでに2日服薬し、少なくとも眠ることは驚くほど――今まで何年も続いた、疲れるばかりの睡眠は一体何だったのかとショックを受けるほど容易になったので、もし不眠で苦しんでいたら、もっと気軽に受診しても良いのでは?と思った。